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リリカルなのはFeather 第0話[天女たちの事情] 機動六課隊長室は緊迫した空気に包まれれている その原因は機動六課部隊長、八神はやてが発してる怒気のせいである [もう、どないせ~ちゅうねん」 そして隊長室のテーブルに置かれた沢山の報告書が宙を舞った 「落ち着いて下さい、はやて隊長、暴れても何もなりません] 其処にはやての副官であるグリフィスが必死にはやてを止めていた [離してグリフィスくん] 此処に至るまでの過程は先日機動二課がなのは達の世界でロストロギアの確保をして時ある宝石も付いてきた ついでに宝石も分析した結果ある事実が出たそこにはある文明の事が断片的に記されていた 管理局は余り気にしてなっかたが ある問題が出た、管理局のホストコンピュータがハッキングされ翌日マスコミにアルハザードの手掛かりとして報道された為に人々はこの事に異様な関心を占めていた 管理局もこの失態を隠すため選りすぐりの部隊を派遣する事になった そこでどの部隊なら世論を納得出来るかの会議が開かれていた 正直どの部隊の隊長も選ばれたくないそれが本音であった はっきり言ってこんなの生贄でしかない 魔法文明の無い世界で調査で信頼性が殆ど無い情報、こんなの成功するはずがない 時間の無駄そして経歴に傷を付ける様な物、醜い擦り付け合いが加速して来たころにレジアス・ゲイズ中将がある進言をした [やはり此処は出身者が居る機動六課に行って貰いましょう] その発言に居あわせた人達から一斉に賛成の意見が沸いた 元々六課に不満を懐いてた者達はレジアスの発言で勢いだし 他の人達もその勢いに乗りだした所に総務統括官つまりリンディ・ハラオウンがとめ様とした [いい加減にして下さい、機動六課はまだ設立したばかり部署なのですよそんな部署には荷が重過ぎます] となるべく客観的に抑えようとしてた、だが心無い一言が言われた [良かったじゃないですか、フェイト・T・ハラオウンはプレシア・テスタロッサ の娘なんでしょ母親のアルハザード探しの手伝いが出来るじゃなですか] その意見に溜まらずリンディは声を荒げた [なっ、そんな事あなた方には関係の無い事です] そこにレジアスが場をなだめ様としてた [皆さん少し落ち着いて下さい、リンディ・ハラオウン総務統括官、私達は別に六課を憎んでいる訳じゃありません数々奇跡を起こした者達が設立した部署に期待しているのてす] その意見にリンディ・ハラオウン以外の喝采が起きた レジアスは辛そうな顔をしてたが内心は良い厄介払い出来た事で喜んでいた 翌日には機動六課に正式に第97管理外世界の調査が言い渡された そして今に至る この怒気の一番の理由は六課にこの調査を言い渡された時に言われた一言である [良かったね、親友の母親のお手伝いが出来て] [あー今思い出しても腹が立つわ] また暴れだした [もういい加減に落ち着いてください] やっとはやての怒りが治まった [何時までも此の侭とゆう訳にはいかヘんからな悪いけどグリフィスくん、なのはちゃん達呼んで来てくれる] [はい、分かりました] ボロボロになったグリフィスの声が響いた 数十分後なのは達が隊長室に来た […あんなぁ、なのはちゃん、特にフェイトちゃんには悪いけどアルハザードの手掛かりの調査を言い渡されたんや] はやては落ち込んでる顔で言った [はやて、私は気にしてないよ、もしこの手掛かりが本当にアルハザードに繋がるなら私は知りたい] フェイトは力強く言った [うん、そうだねみんなでがんばろう] なのはも力強く言った [ありがとうホンマにありがとう] 三人は抱き合った 数日後 XV級艦船「クラウディア」に必要な物資を詰め込んでいる所に元気な青髪の少女の声が響いてる [ねぇねえティア、この宝石なんだよねアルハザードの手掛かり言われてるの凄いよね] [スバル、一応この宝石は大事な物なんだからね] とツインテール少女が言った [うん、あれ?] [如何したのスバル] [今なんかこの宝石光った様なしたんだけど] [気のせいじゃ無いの] 一方そのころ 地球ではある事が起きていた [瑠璃] 学校の屋上で落ち様としてた宮坂瑠璃を必死に救おうとしてた鷲崎飛翔の腕が遂に解けた [飛翔くん] そして宮坂瑠璃は落ちた 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはGoodSpeed クロス元:スクライド 最終更新:08/02/28 Chapter1<<Erio>> TOPページへ このページの先頭へ
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新暦71年4月29日、この日、ミッド臨海空港が炎に包まれた。 それは初めは小さな火だったが、すぐに建物全てに燃え広がる業火と化した。 炎は逃げ遅れた人々を遠慮なく焼き、その命をデスの下へとへと引きずり込む。 この青い髪の少女『スバル・ナカジマ』もまた、その炎に包まれた空港の中にいた。 「お父さん……お姉ちゃん……」 スバルは泣いていた。 父を求め、姉を探し、既に火の海と化している空港内を彷徨いながら、ただ泣いていた。 死の恐怖や孤独、もちろんそれも泣いている理由には含まれるが、他にももう一つ理由がある。 先程炎の中で一瞬だけ見えた、炎を纏った人型の巨大な何か。それが辺りに火をつけながら移動するのを確かに見た。 おそらくあれが、ミッドチルダで最近確認され始めた異形……モンスターなのだろう。 モンスター達が多くの人々を殺す。その事実がスバルが泣くのに拍車をかけている。 自分も殺されるのだろうか? 瓦礫の爆発がスバルを吹き飛ばしたのは、ちょうどそんな事を考えていた時であった。 爆風は子供を吹き飛ばすには十分すぎるほどの威力。その爆発によって、スバルは天使像の正面まで吹き飛ばされた。 「痛いよ……熱いよ……こんなのやだよ……帰りたいよぉ……」 スバルはただ、泣いていた。 光がやみ、次にグレイが見たものは辺りを焼き払う炎。 彼は辺りを見回し、落ち着いて自分の今置かれている状況を確認する。 まず理解したのは、ここが建物の中だということ。広さはミルザブールの街にあった城と大体同程度だろうか。 次に理解したのは、どうやら今は何らかの理由で火事になっているということ。 真っ先にイスマス城での事件を思い出すが、あれはモンスター軍団の襲撃によるもの。これとはおそらく無関係だ。 続いて装備を確認。自分が使っていたディステニィストーン『邪のオブシダン』と『水のアクアマリン』がなくなっていた以外は万全の状態だ。 そして最も重要なこと……一緒に来たはずの仲間が周りにいないということを理解。 転移の時に事故でも起こって散り散りになったのか、それともグレイから見えないだけで近くにいるのか。今はそれを確認できる状況ではない。 「……全く、エロールもふざけた事をしてくれる」 とにかく出口を探すべく、すっかり手に馴染んだ古刀を手に歩き出した。 Event No.01『ミッド臨海空港』 ピシィッ。 天使像の根元にヒビが入る。それも不幸なことに傾いている方向は正面……すなわち、スバルのいる方向だ。 だが、当のスバルはそれに一切気付かない。今もこの場で泣き続けている。 「助けて……誰か、助けて!」 ここにはいない誰かへと助けを求めるが、それを聞き届けられる者は誰もいない。 さらに悪いことに、それを嘲笑うかのようにヒビが像の表面へと面積を広げていく。そして―――――ビキィッ。 スバルが音に気付き、後ろを見る。そしてその目に自分への直撃コースで倒れてくる像を見た。 自分の死が確実になっていると本能で理解し、とっさに目をつぶってうずくまる。そんな事をしても何にもならないと分かっているのに。 そして、その像はスバルを―――― 【レストリクトロック】 ――――押し潰さなかった。 「よかった、間に合った……助けに来たよ」 いくつもの光の輪が、倒れこむ天使像を縛り上げて落下運動を封じる。 その後ろ上方には、白い服に身を包んだツインテールの女性……『高町なのは』の姿。彼女の使った魔法が像を止めたのである。 そしてなのははスバルの所まで下りていくと、優しく笑ってスバルを安心させる。 「よく頑張ったね、えらいよ」 死を覚悟したときに来てくれた助け。それはスバルの緊張の糸を切り、再び泣かせるのには十分だった。 但し、今度の涙は先程までのものとは全く違い、恐怖ではなく安堵で流したものだが。 「もう大丈夫だからね……安全な場所まで、一直線だから!」 『上方の安全を確認』 防御魔法『プロテクション・パワード』で護られたスバルを背に、なのはが愛杖『レイジングハート』を構える。 レイジングハートが上空を確認。彼女(AIが女性の人格なので、彼女としておこう)が言うには、上は安全。 それはつまり――――思い切りブチ抜いても問題は無い、という事だ。 「レイジングハート、一撃で地上まで撃ち抜くよ!」 『All light. ファイアリングロック、解……』 空港の天井をブチ抜くべく、デバイスの制限であるファイアリングロックを解除しようとする。 だが、その寸前にレイジングハートが何かの反応を検知。一瞬の後にはその正体を理解し、なのはに報告していた。 『マスター、人間とモンスターの反応を確認しました』 「え!? レイジングハート、数と方向は?」 『数はそれぞれ一つずつ。うち一つはあの少女のいる方向から接近していまs「グオオオォォォォォォ!!」 レイジングハートがそれを言い終える頃には、既にそのモンスターが近くまで来ていた。 魔族系モンスターの中でも高位に位置する炎の魔人『イフリート』。それがそのモンスターの名だ。スバルが見たモンスターというのもこいつである。 「あ、ああ……」 スバルの顔に恐怖が蘇り、へたり込む。 だが、そんな事など知らぬとばかりにイフリートが拳を振り上げた。 【ヒートスウィング】 拳を思い切り横に振り抜き、炎を纏った拳撃を放つイフリート。それを見たスバルは反射的に目をつぶる。 だが、どうやら今日のスバルは「潰されそうになるが潰されない」というパターンに縁があるらしい。 あらかじめなのはが張っていたプロテクション・パワードがスバルを護る。いくらイフリートの攻撃でも、さすがに一発や二発では壊れはしない。 「グルルルゥゥゥ……」 防がれたことを本能で理解するイフリート。どうやらかなり苛立っているようだ。 だが、執念深いモンスターはその程度では諦めない。再び拳を振り上げる。 どうやら一度で駄目なら壊れるまで叩くつもりのようだ。 そして再び―先程までは気付かなかったが、斬撃の痕がついた―拳を振り下ろした。 「させない! アクセルシューター……」 それを視認したなのはが、すぐさま自身の周囲に光弾を形成。その数、およそ十。 目標、スバルへとヒートスウィングを繰り出そうとするイフリート。光弾の発射準備完了。 「シューーーート!」 そして、一斉発射。 その光弾は狙い過たず(外れていたとしても遠隔操作できるが)イフリートへと接近し、そして―――― 【アクセルシューター】 【強撃】 まるで示し合わせたかのようなタイミングで、なのはの魔法ともう一つの反応の主……グレイの斬撃が決まった。 時間は少し遡る。 グレイはこの世界に着いてから、ずっと空港からの出口を探していた……が、一向に見つからない。 まあ、彼はここの構造を知らない上に、出口に繋がっているであろう道も炎や瓦礫で閉ざされているのだから当然ではあるのだが。 おまけにマルディアスにいた炎関連のモンスターまで襲い掛かってくるのだから、そのせいでさらに時間が浪費される。 ……と、またモンスターが近寄ってきた。外見からしておそらくはイフリート。だとすればかなり厄介な相手である。 幸い、以前戦った時にイフリートは聴覚で相手を探しているということを知ったので、やりすごすのは楽だ。一対一でこんなものの相手をするのはかなり骨である。 息を殺し、身を潜め、イフリートが通り過ぎるのを待つ。そしてイフリートが通り過ぎ……る前に、あるものを発見。 グレイがその目に捉えたのは、泣きじゃくるスバルの姿。悪いことにイフリートの進行方向にいる。 彼は必要とあらば人殺しすら厭わない性格だが、さすがに目の前で子供が襲われるのを見過ごすほどの冷血漢ではない。 【光の腕】 だからこそ、刀からの光線をイフリートめがけて放った。 それは見事に直撃し、さらに着弾箇所がパァンと起爆。イフリートを怯ませる。 この行動は、スバルが助かったという意味では吉だったが、グレイにとってはおそらく凶。今のでイフリートに気付かれてしまった。 戦闘開始である。 【払い抜け】 先手を取ったのはグレイ。刀を構え、素早く横をすり抜けるように斬りつける。 そしてその勢いに乗ったまますぐに離脱。何せ相手がどれ程の怪力かは身をもって知っているのだ。喰らったら到底ただでは済まない。 ふと、熱と焦げ臭いにおいを感知。発生源である右腕を見ると、火がついていた。 「ちっ……なるほど、セルフバーニングか」 火を消しながら、この火の原因を理解する。そういえばイフリートは常時火の防御術である炎のバリア『セルフバーニング』を張っていた。 幸い火のダメージも、皮膚の表面が少し焼けただけで大したことはない。 いずれにせよ、下手に近付けばセルフバーニングで焼かれる。ならば離れて光の腕などで攻撃すべきか? そう考えていると、いつの間にかグレイの体が宙に浮いていた。そのままイフリートの正面へと引き付けられる。 (まずい……!) グレイは何度かこの技を見ていたし、受けたこともあったからその正体を知っている。 この技は高位の大型魔族が扱う大技『コラプトスマッシュ』。簡単に言えば目の前まで相手を浮かせ、ラッシュを叩き込むという技だ。 だからこそ、すぐに離れようとするが体が動かない。どうやら念力か何かで引き寄せているようだ。 【コラプトスマッシュ】 ズドドドドドドドドドォン! グレイの体にイフリートからのラッシュが入る。一発だけでも相当の威力があると音で分かるような打撃だ。並の人間なら軽く死ねるだろう。 そのままラッシュの勢いを殺さずにグレイを放り投げ、空港の床へと叩きつけた。その箇所を中心にしたクレーターの出来上がりである。 これで死んだだろうと思ったのか、イフリートがグレイへと背を向けてスバルの方へと歩いていった。 だが、イフリートは一つ大きな誤算をしていた。 「まだ、だ」 それは、グレイがこれで死ぬほどやわではないということ。 確かに普通ならこれで死んでいた。だが、グレイは長旅の間に大いに鍛えられていたのだ。それこそイフリートのような高位モンスターとも真っ向から戦える程に。 もっとも、これでダメージが少ないという訳ではない、というかむしろかなりのダメージを受けているのだが。 イフリートはそんなグレイに気付かず、スバルへと接近。そして咆哮。ヒートスウィングを繰り出すが、それはプロテクション・パワードで止められた。 一方のグレイは刀を杖代わりにして立ち上がり、再び構えてイフリートへと駆ける。 そして、イフリートが二発目のヒートスウィングを放とうとした時―――― 【アクセルシューター】 【強撃】 全くの偶然だが、なのはの攻撃と同時に強烈な一撃を見舞った。 「人……? レイジングハート、もしかして」 『先程キャッチした反応と一致。どうやら彼があの反応の主のようです』 なのはがグレイの姿を見て、先程のレイジングハートの報告を思い出す。そういえば人間とモンスターの反応が一つずつと言っていた。 すぐにその事を問うと、返ってきたのは肯定の意。どうやらもう一つの反応の主はグレイで間違いないらしい。 手に持っている刀と状況から察するに、おそらくイフリートの腕に斬り傷を付けたのも彼だろう。 そのような事を話している間にグレイがなのはに気付き、言葉を発する。 「あの子供とは別の人間だと……?」 グレイが知る限りでは、先程までなのはの姿は無かった。それなのにここにいる。 ならばスバル同様にここに迷い込んだか、もしくは何かの目的があってここに乗り込んできたか、である。 この火災を起こした張本人という可能性も一瞬考えたようだが、それを考え出すとキリがないのですぐに切り捨てた。 それに……今はそんな事を考えている場合ではない。なぜなら、 【ヘルファイア】 イフリートはこの二人の思考が終わるのを待つほど律儀な相手ではないのだから。 なのはとグレイ、この二人からの攻撃はイフリートをキレさせるには十分。怒りに任せて火炎弾を放った。 グレイはこうなることも予想していたのか、重傷の体にムチ打って回避する。 【プロテクション・パワード】 一方のなのはも、すぐさまプロテクション・パワードを展開。ヘルファイアを受け止めた。 このバリアはヒートスウィングでも受け止められる程の強度を持つ。ならば最下級クラスの攻撃術くらい、防げない道理は無い。 「魔法盾だと? イージス……いや、セルフバーニングか?」 それを見たグレイが驚く。このような術はマルディアスでは見たことが無い。 一瞬セルフバーニングや盾を作り出す土の防御術『イージスの盾』が頭に浮かぶが、どちらとも全く違う……ならばこの世界特有のものだろうか? いずれにせよ、こんな事を考えている場合ではない。それよりもイフリートをどうにかする方が先だ。 炎の中で炎の魔物を相手にする事ほどの下策は無い。外に放り出せば少しはマシになるだろう。 だが、グレイ一人では到底無理だ。今の満身創痍の状態はもとより、万全の状態でも厳しいだろう。 キレたイフリートの打撃を避けながら、どうやって放り出すかを考える。クリーンヒットを喰らうのと策を思いつくのでどちらが先かと思いながら。 【アクセルシューター】 「アクセルシューター、シュート!」 声とともに形成された五つの光弾が、イフリートの背に突き刺さる。声の主はなのはだ。 イフリートの出現により救助が遅れているので、いいかげんに何とかしないとここにいる二人も助けられないと思ったのだろうか。 そのままカートリッジをロードし、さらなる光弾を形成して立て続けに撃ち込む。何度も撃ち込めばさすがに参るはずだ。 ちなみに遠くからの攻撃なのでセルフバーニングの影響は無い。セルフバーニングで防げるのは炎のみなのである。 これらの攻撃は確かに効果はあった。だが、それは同時にイフリートの怒りを増幅させる。 次の瞬間、なのはの動きが止まった。その体勢のまま浮き上がり、イフリートの前へと引っ張られる。 これはもしかしなくてもコラプトスマッシュの予備動作。このままいけば徹底的にボコボコにされるだろう。 結果だけ言えば、なのははボコボコにはされなかった。 【かぶと割り】 初撃が打ち込まれる前に高く跳んだグレイが、そのまま頭をかち割るかのような一撃を見舞ったのだ。この体のどこにそんな力が残っているのだろうか。 さすがにこれには参ったのか、イフリートの束縛が外れる。その隙に距離を取った。 さらにその近くにグレイが着地し、なのはが礼を言うより前に問うた。 「おい、奴を遠くに吹き飛ばす術はあるか?」 「え……はい、それならいくつか持ってます(術……? 魔法のことかな?)」 術という聞き慣れない単語に首をかしげるも、おそらく魔法のことだろうと思って返事をする。 なのはの持つ魔法には『ディバインバスター』や『スターライトブレイカー』といった砲撃が存在する。これならばイフリート相手でも遠くへ吹き飛ばすくらいはできそうだ。 そしてその答えに満足したのか、グレイは先程思いついた策を話した。 「あの人達も、モンスターと戦ってくれてる……なのに、私は……ッ!」 スバルは未だ、泣いていた。但し、先程までの恐怖とも安堵とも違う理由で。 あの二人はあんな大物モンスターと戦っている。それも、なのはの方は間違いなく自分を助けるために。 それなのに自分は何も出来ない。それが悔しくて泣いているのだ。 もちろん、何の力も無い自分が行っても一撃でハンバーグにされるのは目に見えている。だが、それでもだ。 「もう嫌だよ、泣いてばかりなのも、何もできないのも……」 【腕力法】 気の補助術『腕力法』で腕力を高め、疾駆。後方ではなのはが杖の先端に魔力のチャージを始めている。 このまま斬りかかって来るかと思ったのか、イフリートが腕を横薙ぎに振るおうと構える。 が、その腕は結果的に空中を空振ることになった。 グレイが床に刀を突き立て、結果的にそれが軽いブレーキとなって減速。結果、そのままなら命中するはずだった腕はむなしく空を切った。 そして、それが大きな隙となってイフリートの命運を決めることとなった。 【天狗走り】 床から刀の切っ先が離れ、それが大きな反動を生む。 そして反動は巨大な運動エネルギーを生み、イフリートの体を直撃した。 エネルギーをその身で全て受け止めることになったイフリートは当然耐えられるはずもなく、空高く舞い上がった。 命中と同時に左腕が燃え上がるが、すぐに腕を振って鎮火する。 そして、その時こそがなのはの待っていた好機。すぐさまレイジングハートを空中のイフリートへと向け、そして叫んだ。 「ディバイィィィーーン…… 【ディバインバスター】 ……バスタァァァァァーーーーーー!!」 閃光。 レイジングハートの先端に集められた魔力が、光の砲撃となってイフリートへと飛ぶ。 砲撃はそのままイフリートを飲み込み、それだけでは飽き足らず天井をブチ抜く。 その結果、天井にはそのまま脱出路に使えそうな大穴が空いた。姿の見えないイフリートはおそらくそこから放り出されたのだろう。 一方の外……正確には空港付近の海面。 「グギャアアアアアアァァァァァァァ……」 海上へと浮かび、これから地獄に堕ちるような悲鳴を上げるイフリートがいた。 イフリートの体は大部分が炎でできている。それが大量の水でできている海に落ちたとすればどうなるか? 答えは簡単。今のイフリートのように体の炎が消え、そのままあの世へと逝く、である。 そうしてイフリートは消えていく体の炎とともに命も消した。 「こちら教導隊01、エントランスホール内の要救助者、女の子一名と男性一名を救助しました」 空港上空。なのはがグレイとスバルの二人を抱えて飛んでいる。ちなみにグレイの意識は無い。 コラプトスマッシュを喰らってボコボコにされ、さらにそこから無茶な戦闘。気の回復術『集気法』を使う間もなく気絶するのは無理もないだろう。 そして二人を抱えているなのはだが、その状態でも平気な顔をしている。一体どこにそんな体力があるのだろうか? 『ありがとうございます! でも、なのはさんにしては時間がかかりましたね』 相手の通信士がはずんだ声で答える。が、それと同時に疑問を返した。 救助に向かったのはエースオブエースとまで呼ばれる程の腕利きの魔導師。それにしては少し救助に時間がかかっている。 大方、要救助者がなかなか見つからなかったのだろうと思った通信士だが―――― 「……中にモンスターがいたんです。多分、かなり強力な」 ――――全く予想もしない形で返された。 『モンスター!? 何でそんなものが空港に……』 いくつかの疑問が浮かぶが、とりあえずそう聞き返す。 それに対し、なのはが返したのは沈黙。彼女にも理由などというものは分からない。 「……とにかく、西側の救護隊に引き渡した後、すぐに救助活動を続行しますね」 そう言うと、なのははすぐに救護隊の元へと飛んでいった。 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのは GG ver.β duel 1 KEEP YOURSELF ALIVE 2.5 duel 2 It Was Called Victim duel2.5 Sack A Sage duel 3 The Mask Does Not Laugh duel 4 Walk in the dusk
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魔法少女リリカルなのはViVid第1話 魔法少女リリカルなのはViVid第2話 魔法少女リリカルなのはViVid第3話 魔法少女リリカルなのはViVid第4話 魔法少女リリカルなのはViVid第5話 魔法少女リリカルなのはViVid第6話 魔法少女リリカルなのはViVid第7話 魔法少女リリカルなのはViVid第8話
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『マルディアス』。神々の戦いで一度死に、そして千年の時をかけて蘇った世界。 今この世界では、千年前の戦いに敗れ、封印されていた邪神『サルーイン』が復活しようとしていた。 魔物やサルーインの信徒が起こしていた幾多の事件。それらはやがてサルーイン復活へと繋がる。 世界は再び、千年前のような混沌の時代へと移り変わろうとしていた。 しかし、サルーインと戦う者達は確かに存在していた。 神々が創り上げ、英雄『ミルザ』へと与えられた十の宝石。それらはとある五人の運命を絡め取り、サルーインとの戦いへと駆り立てた。 灰色の長髪をした剣士『グレイ』。 迷いの森を守る弓使いの少女『クローディア』。 エスタミルを根城とする盗賊の少年『ジャミル』。 三角帽を被った術士の女性『ミリアム』。 トカゲの姿をした亜人『ゲッコ族』の戦士『ゲラ=ハ』。 彼らは現在、かつてミルザが神々に認められるために行った試練……通称『最終試練』に参加している。 その内容は、試練の地で十二体の強大なモンスターを打ち倒し、祭壇まで辿り着く事。 そして今、彼らは十二体目のモンスターである金色の龍『ゴールドドラゴン』との死闘を繰り広げていた…… 魔法少女リリカルなのは ―Minstrel Song― Event No.00『最終試練』 【十字斬り】 グレイが刀を振るい、金の巨躯へと十字の傷を付ける。 刃渡りは長く、切れ味も十分。それなのに大したダメージを与えられていないらしく、龍が傷をものともせずに接近。 そのままグレイへと牙を剥き、喰らいつく。 【かみ砕く】 その牙の鋭さは、かつて戦った同種の ―但しこちらの方が遥かに強いが― モンスターで身をもって味わっている。 それ故にこれは喰らってはいけないとすぐに理解し、チッと舌打ち。そのまま刀で受け止めた。 龍と人間の力には元々大きな差があり、それはこれまでの戦いで鍛えられたグレイでも例外ではない。せいぜい三秒もてば良い方だろう。 「クローディア、援護頼むぜ!」 だが、このメンバーにはそれで十分だ。 ジャミルが愛剣『エスパーダ・ロペラ』を手に、高く跳び上がる。その後方には『藤娘』に矢をつがえるクローディアの姿が。 そのままジャミルは近くの岩を蹴り、ゴールドドラゴンへと飛びかかる。それと同時に矢が放たれた。 【ホークブレード】 【プラズマショット】 【連携:ホークショット】 ジャミルの剣がゴールドドラゴンの背を掻き斬り、そこにクローディアの矢が直撃。 いかにゴールドドラゴンといえど、傷口にプラズマショットという電流付きの矢を撃ち込まれればたまったものではない。 そのダメージから思わず牙を離し、その間にグレイが離脱する。そしてその隙にゲラ=ハが自身の持つ槍『マリストリク』をドリルのように回転させながら接近した。 【螺旋突き】 突っ込んでいったゲラ=ハが傷口へと槍をねじ込んだ。それも先にグレイが付けた十字傷へのピンポイント攻撃。 さすがに傷口への攻撃は効くらしく、結構なダメージはあるらしい。 だがその代償として、ゴールドドラゴンを本気で怒らせてしまった。これはかなりまずい状態だ。 大きく咆哮し、首を空へと向けるゴールドドラゴン。その口からは炎が漏れ出している。おそらくブレス攻撃が来るだろう。 それを阻止すべく駆けるゲラ=ハ。だが、一足遅い。 【火炎のブレス】 辺り一面を焼き払うほどの炎が吐き出された。 その炎はグレイ達へと直撃し、死にはしないまでも多大なダメージを与える。無事だったのはあらかじめ炎の盾の術『セルフバーニング』を使っていたミリアムくらいだろう。 中でもゲラ=ハは前に出ていた分、より大きなダメージを受けていた。先に復活の術『リヴァイヴァ』を使っていなければそのまま倒れていただろう。 「……さすがに最終試練の最後の一体。強いですね」 そう言いながらマリストリクを構えるゲラ=ハ。それに対し、グレイが言葉を返した。 「ああ……だが、時間は稼げた。ミリアム、やれるな?」 【スペルエンハンス】 グレイが振り向いた方向では、先程からミリアムがスペルエンハンスで魔力を高めている。 今使った分のスペルエンハンスがかかると同時にミリアムが気付き、そして答えた。 「大丈夫、これならやれるよ!」 そう言うと同時に、ミリアムに大量の魔力が集まり、それが龍の真下で形を成す。 それは巨大な炎の玉。それがゴールドドラゴンの真下からせり上がり、そして飲み込む。 【クリムゾンフレア】 その炎……いや、クリムゾンフレアが龍を飲み込み、少し地上から離れたところで停止。その上には巨大な陣が形成され、少し遅れて炎が爆発する。 だが、クリムゾンフレアはそれだけでは終わらない。爆発の後に上空の陣が巨大な火柱を落とすという大仕掛けが残っているのだから。 爆発と同時に五本もの火柱が巻き起こり、ゴールドドラゴンを灰燼へと変える……それで本来は終わりのはずだった。 だが、まだ終わらない。ゴールドドラゴンとはここまでやられてもまだ戦えるほどのタフネスを持っている。 「嘘、あれで倒れないの!?」 さすがのミリアムも驚きを隠せない。まあ、無理もないだろう。 何せ自分が持つ限りで最高クラスの威力の術を喰らって立っていられる相手だとは思わなかったのだろうから。 だが、それでも相当弱っているのが見て取れる。倒すなら今だ。 それを理解したのか、クローディアがすぐさま藤娘を構え、グレイとジャミルに指示を飛ばした。 「グレイ、ジャミル、私に合わせて」 そう言うと、すぐさま矢の速射を撃ち込む。それに合わせてグレイとジャミルが追撃。 上空から見れば、この三人がまっすぐ一列に並んでいるのが分かるだろう。 ……そう、ちょうど竜騎士から教わったあの陣形のように。 【龍陣】 その並びに反応したかのように、ゴールドドラゴンを中心とした光の円が地面に形成される。 これこそが『龍陣』。それぞれの連携の末に龍が追撃するという陣形だ。 そこからすぐにグレイが動き出し、次々と連携を決めていく。 【龍尾返し】 【三星衝】 【サイドワインダー】 【連携:龍尾三星ワインダー・龍牙】 まずグレイが懐に飛び込み、ナナメに一閃。そこから横にまた一閃。 そこからジャミルがゴールドドラゴンの急所といえる位置……すなわち、グレイとジャミルによって付けられた二つの傷口と、龍尾返しで新たにできた傷口にほとんど同時に突きを見舞う。 さらにその箇所を性格に狙い、クローディアが蛇のように曲がりくねった軌道の矢を放つ。それは見事に命中した。 そしてここからが龍陣の真骨頂。一頭の巨龍が下から現れ、ゴールドドラゴンを巻き込んで徹底的に大暴れしていった。 さすがにここまでやられて戦えるほど、ゴールドドラゴンはタフではない。 その場でグラリと崩れ落ち、そして倒れた。 決着から数分、彼らは最奥である試練の祭壇へと辿り着いていた。 階段を上り、祭壇を視認。それと同時に、彼らにここのことを物語として教えた吟遊詩人も視認。 ただし、吟遊詩人はいつもとは違い、どこか人間離れした雰囲気を漂わせている。 ……ここまで来れば、この吟遊詩人がただの人ではないことが容易に想像できるだろう。 「お前はいったい何者だ?」 ならばこの男は一体何者なのだろうか。それを疑問に思ったグレイが問う。 それに対し、詩人は答えずにただ笑顔で自分の思っていたことを口にした。 「グレイ、そしてその仲間たち。君達がここまで来ると信じていたよ」 その口調もいつもの敬語ではなく、まるで父親が子供に語りかけるような言葉。 それがグレイの頭にとある可能性を叩き出させる。普通なら誰も信じないような、そんなとんでもない可能性を。 「……まさか」 「そう、私は光の神。神々の父『エロール』だ」 ……どうやらたった今叩き出された可能性は大正解だったらしい。 何故吟遊詩人……いや、エロールが人間として生きているのかはこの際置いておくとしよう。考えても仕方が無いのだから。 それより他に気になることがあるらしく、クローディアが階段を下りるエロールへと聞いた。 「貴方はサルーインより強いのでしょう? ならば何故、自分で戦わないの?」 かつての神々の戦いの時、サルーインとその兄弟……伝説上は『三柱神』と呼ばれているのだが、それらがエロールと戦い、そして敗れた。 三柱神のうち、長兄『デス』と末妹『シェラハ』はその時に降服。しかしサルーインだけは最後まで戦い続けた。 エロールがミルザに宝石を与えたのはその後、すなわちサルーインただ一人を残した時であった。 そこからでも分かるように、三柱神のうち二人を降服させるほどの力を持つのがエロールだ。 ならばエロールが戦えば勝てる。なのにそれをしない。それを疑問に思った結果が今のクローディアの問いである。 エロールはその歩みを止めず、階段を下りながらクローディアへと答えを返した。 「……かつて神同士の戦いがあった。そのとき世界は一度死んだ。それほどに神の戦いは激しいのだ。 私は二度と世界を死なせたくない」 千年前の神々の戦い。それは世界を一度殺すのには十分過ぎる程の規模だという。 エロールはそれを分かっている。だからこそ、自身がサルーインとの戦いに赴かないというのだ。 「なるほどな。でも、俺達じゃサルーインには勝てないかもしれないぜ?」 ジャミルが軽口を叩きながら階段を下りる。それに合わせて他の四人も一緒に下りていく。 「人には自分の運命を自分で決める権利がある。 サルーインの復活を傍観するか、サルーインを打ち倒すか、それともサルーインに敗れ去るか。全て自分達で選ぶことができる」 既に階段の一番下の段に辿り着いていたエロールが言葉を返す。 少なくともこの五人は、サルーインと戦う道を選んでいる。だからこそこの言葉を贈ったのだろうか。 やがてグレイ達五人も階段の一番下へと到達。そしてミリアムはその場で立ち止まった。 「本当は、もう結果が分かってるんじゃないの? やれるかどうかも分からないのに、あたい達に任せるとは思えないもん」 ミリアムが笑ってそう聞く。確かに、勝てるかどうかも分からない……というより、負ける公算の高い戦いをさせるとは思えない。何しろ、負ければ世界が危ないのだから。 だが、その問いはエロールが横に首を振ったことで否定された。 「神々とて、それほど先のことがわかっているわけではないよ」 そう、たとえ神々でも未来というものは分からないのだ。 封印したことによってサルーインの憎しみが増すとは予想していなかった。 サルーインが『ミニオン』という使い魔達を生み出すとは思っていなかった。 かつての戦いで生み出し、ミルザへと与えた宝石『ディステニィストーン』が世界を混乱させるとは思わなかった。 「……全て、私の失敗だよ」 心底悔やんだような顔(帽子と髪型でよく見えないが)でエロールが言う。 未来が分かっていれば、このような失敗もしなかった。そしてその失敗の結果がサルーインの復活だ。 「勝敗はやってみなければ分からない、そういう事ですか……荷が重いですね」 「だが、やるしかない。エロール、俺達が負けても文句は言わせんぞ」 ゲラ=ハの言葉にグレイが言った。それを聞いたエロールが笑顔で答えを返す。 「私はこの世界そのものと、世界に存在する全てのものをいとおしく思っている。 どのような結果も、受け入れるだけだ」 「さて、サルーインの居場所ですが……実を言うと、今はこの世界にはいません」 吟遊詩人の口調に戻ったエロールが、サルーインの居場所を言う。が、それはあまりにも理解しがたいことだった。 もっとも、いきなり『実はこの世界にはいません』というのは驚かないほうが不思議だろうが。 「何だと? それは一体どういう意味だ」 いきなり突拍子の無いことを言い出すエロールにグレイが問い返す。 見れば他の面々も全く理解できていないような表情。中にはジャミルのように「それはひょっとしてギャグで言ってるのか」とでも言い出しかねない表情の者までいる。 だが、エロールは全く動じずにその続きを言う。 「グレイ達が動いているのを感づいたのでしょう。どうやら数日前に異世界へと飛び去ったようです。 おそらくは妨害されないよう、異世界で復活を遂げてからこちらへと戻ってくる……そういうつもりでしょう。 もっとも、転移に使ったエネルギーを取り戻すだけの時間だけ復活は遅れるでしょうが」 サルーインにそのような芸当ができたとは初耳である。千年前の戦いの記録にも、そのような事は載っていない。 だが、事実サルーインは異世界へと飛んでいる。ならば追って復活を阻止、最悪の場合復活したサルーインを打ち倒す必要があるのだ。 「消耗したエネルギーの分だけ復活が遅れると言いましたね……具体的にはどれ程遅れるのですか?」 「……長く見積もっても、あちらの時間で数ヶ月といったところでしょう」 サルーイン復活まであと数ヶ月の遅れが出る。異世界に向かい、探して打ち倒すには十分な時間だろう。 その頃には彼らの中に異世界行きを迷う者など誰一人としていなかった。 ……まあ、どうやって行くのかを一切考えていなかったが。 「私が一度あなた方を地上へと送ります。準備が済んだら北エスタミルのパブまで来て下さい。 そこから私の力でその世界へとお送りしますし、決着がついた頃にそちらへと迎えに行きます」 数日後、北エスタミルで謎の光が確認された。 その光の正体は無論、エロールがグレイ達を異世界『ミッドチルダ』へと送るための力である。 「頼みましたよ、皆さん……」 彼らがいなくなった北エスタミルで、エロールは一人呟いた。 そしてグレイ一行とサルーイン、そして『機動六課』と『ジェイル・スカリエッティ』を巻き込んだ物語は……ここから始まる。 目次へ 次へ
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「それでは、フェイトちゃんの嘱託魔導師試験合格を記念して・・・」 「乾杯!」 アースラ艦内では、本局で試験を終えたフェイトのささやかな祝賀会が開かれていた。最低限のオペレーター以外は食堂に集合し、そ の主役のフェイトはその中で恥ずかしそうにしつつ、皆に持ち上げられていた。 「あ・・・ありがとございま」 「飲めー!歌えー!騒げー!デストローイ!!!」 「ハイ、ハイ、ハイハイハイハイリンディ提督のちょっといいトコみてみたーい!!!」 「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAHUUUUUUUUUUUUUUUU!!!!」 ささやかと言うには騒ぎ過ぎである。この艦の理性でもあったクロノ・ハラオウンがいないと言う事はこれほどまでに混沌を呼ぶのか。 「どーしたのー?フェイトちゃんの為の宴なのに~」 「リンディ提督、いえ、その・・・うわ、酒臭」 「ぶふ~ん、リンディママに全部話して御覧なさ~い、っていうかなのはちゃんでしょ~?」 「・・・はい」 その時、通信音が響き、ヘッドセットをつけっぱなしのエイミィが出た。 「はいはい~ああ、クロノ君?」 通信に応対するエイミィのさりげない言葉に戦慄が走り、全員が一瞬で凍りつく。 「うん、今フェイトちゃんの試験終わって・・・え?組織の人と連絡取りたい?わかった・・・最寄の電話ボックスと組織の人を繋ぐから」 「組織・・・?」 フェイトがリンディに怪訝な顔をして尋ねる。リンディは少々顔を引き締める。 「ええ・・・クロノとなのはちゃんには今、捜査の依頼が来ていたからそちらに向かってもらっていたの、後数時間で定期連絡が来るだろう し、その時に一度戻ってもらうように言っておきましょうか?」 「いえ・・・大丈夫です、ですが」 フェイトは真っ直ぐにリンディを見つめ、言った。 「私の方から会いにいきます」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ネアポリス市内のケーブルカー 車掌の笛の音が響く。 「ふぇぇー!!待ってぇ!待ってください!」 ドアが閉まりきる前に間一髪滑り込んだなのは、周りの乗客の注目の的となり、軽く誤魔化し笑い。 「危なかったぁ・・・」 「もう少し待ってくれてもいいよね・・・外国の交通はしんどいよ・・・」 席を探すなのはとユーノだがその最中とんでもない人物を見つけてしまった。 「あ」 「あ」 「あ」 先程空港で自分達を騙した人物・・・ジョルノ・ジョバーナと聞いた彼がボックス席にいた。 「えと・・・座ってもいいですか?」 「え?いや、ああ、どうぞ・・・」 ジョルノと向かい合って座るなのは、荷物は通路側に置く。なのはの横の座席にユーノがちょこんと座る。 「君は・・・いや、覚えてないのか・・・?」 「さっき、空港で会った、ジョルノ・ジョバーナさんですよね?」 「・・・ああ、そうだけど・・・」 「荷物・・・無いんですか・・・」 若干落胆した顔を見せるなのは、ジョルノはそこで話を切り出す。 「その・・・さ、こう言うのは何だけど君は危機感が足りないように思えるんだ、僕が泥棒まがいの事をしていると知っているならわざわざ近寄ったりしないと思うし、荷物だって抱えて持つほうが安全じゃないか?」 「じゃあ、また盗むんですか?」 流石のジョルノも頭痛を覚えた。 「出来るなら今やってみてください」 「(なのは・・・ちょっと怒ってる・・・?)」 「(うん)」 念話での会話すら・・・いや、念話だからこそなのはの静かな怒りが伝わってきた。元よりなのはは曲がった事が嫌いであった、如何なる 理由があっても、どんな境遇であろうと、犯罪に手を染める事を許せない、頑固で真っ直ぐな性格であった。 「出来るのなら今すぐに、盗んでみてください」 「・・・なら、遠慮無く」 ジョルノは即座になのはの荷物を掴む、だが、そこまでだった。 「これは!?重い・・・!!」 出発前 「はいこれ、なのはちゃんは女の子だから色々入れなきゃいけないでしょ?盗まれたりするかもしれないし、特性のスーツケースを用意したのよ」 「なのはちゃんの魔力波動を登録すれば他の人には開けるどころか持つ事すら出来ないようにしてみたよ、開けっ放しには注意してね」 「ありがとうございます、エイミィさん、リンディさん」 「提督・・・僕には・・・」 「それじゃあいってらっしゃい」 「・・・はい・・・」 ジョルノは自分の判断が間違っていた事に気付いた。 この少女は・・・危機感が無いのではない。 危機感を持って、あえてこの場所にいるのだ・・・と 「そうか、お前がジョルノ・ジョバーナか・・・」 そんな中、唐突に話しかけてくる男がいた。ケーブルカーの上の方からゆっくりと歩いてくる、おかっぱ頭の男。 「・・・あんた、誰です?」 「あ、すみません、今ちょっと取り込み中なのでお話なら後にして・・・」 なのはの言葉が途切れる、そばで見ていたユーノは男がなのはに向かって手を突き出したのを見た。 「すまないが・・・ちょっと話したい事があってね、少し時間をもらうよ」 男がすぐに手を離した、にも拘らずなのはは口を塞がれたかの様に呻いている。 「むぐッ!?むぐう!!?」 『ジッパー』がなのはの口に縫い付けられている所為で喋れないのだ。 「ば、馬鹿な!?こんな事が・・・」 「ジョルノ・ジョバーナ、率直に聞きたい・・・このような能力を使う者を見た事は無いか?」 「この様な・・・他にも能力を持つ者がッ!!」 殴った。振り下ろすような拳がジョルノの顔を打ち抜く。 「質問はいらない、ただ答えればいい・・・ここ数日ギャングの中で腕に心得のあるやつが連続して狙われている・・・俺の仲間もその襲撃にあっている、それはどうやら特異な能力を持った奴らが、何らかの目的で集中してここ一帯を狙っている・・・という事なんだ・・・」 「・・・」 「お前が空港周辺で稼いでいるのは知っている・・・だから、妙な奴が来たなら一番お前が詳しいと思ってな・・・」 「・・・魔術士連続襲撃事件か」 「(ゆ、ユーノ君!)」 男が声の方向に向き直る、しかしフェレットであるユーノを当然無視してなのはへと。 「今のは君の声かい?オカシイ、な?口を閉じているのに喋るなんて・・・それに何やら・・・連続襲撃事件と聞こえたが気の所為かい・・・?」 「(ごめんなのは・・・!!)」 「・・・」 なのはは何も言わずじっと堪えた。男はそれを恐怖で緊張していると感じ取ったのか、少し優しい口調で 「じゃあ一つだけ答えてくれないかな・・・?俺の言ったギャングが連続して狙われている事件について、君は心当たりがある・・・イエスかノーか首を動かして答えてくれ」 イエスと応じれば、当然更なる追及を受けるだろう。 ノーと応じれば・・・解放してはくれないだろう、解放してくれたとしても背後関係を洗われる。 どちらも選べない状況で逡巡するなのは、顔に一筋流れる汗を ベロンッ! 男が舐め取った。 「!!??!?!?」 「(こいつ・・・!!)」 「・・・」 「俺ね・・・人が嘘をついてるかどうか汗の味で解るんだ・・・この味は答える事に嘘・・・つまり答える事を隠したい・・・って事」 今度はなのはの肩口から二の腕の辺りまでがジッパーで大きく開かれた。 「ムゥー!!ムグゥー!!」 なのははすっかり気が動転していた。無理も無い、こんな身の危機では成人男性ですら悲鳴を上げて逃げ出す程だ。 「もう少し、話を聞く必要があるようだな・・・俺の名はブローノ・ブチャラティ・・・あまりにだんまりが続くようなら質問を『拷問』に変える必要があるぜ・・・」 「(なのは!!目くらましと解呪をセットでぶつける!!この場は脱出だ!)」 念話の声に理性を取り戻すと同時に、閃光弾の様な光が炸裂した。 「ぐぅっ!!?」 「うああッ!!」 ジョルノとブチャラティが目を押さえて仰け反る。 解呪によって身体のジッパーが無効化した事を確認すると、脱出経路を探そうと目を走らせた刹那、なのはに見えた。 『Protection』 窓の外で鉄槌を振りかぶる少女の姿が 「おらあああぁぁぁ!!!!」 窓ガラスを突き破って来た少女の鉄槌がなのはのプロテクションに食い込み・・・ぶち破った。 衝撃でそのまま反対側の壁まで吹っ飛ばされるなのは 「っかはっ・・・」 瞬時にバリアジャケットを展開していなかったら壁に叩きつけられて気絶していただろう・・・同時にレイジングハートを展開し、対峙するなのは。 「誰なの!?」 「命はもらわねぇ・・・おとなしくやられてくれ」 to be continue・・・ 前へ 目次へ 次へ
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ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは クロス元:ウルトラマンメビウス 最終更新:08/04/30 第1話「突然のはじまり」 第2話「再会は唐突になの」 第3話「決意の変身」 第4話「もう一人の、光の巨人なの」 第5話「暗黒の魔の手」 第6話「決意、そしてお引越しなの」 番外編「ロストロギアなんてレベルじゃねーぞ!!」 第7話「超獣の来襲」Aパート 第7話「超獣の来襲」Bパート 第8話「激闘の始まりなの」 第9話「仮面の男」 第10話「再会は異世界でなの」 第11話「兄弟の思い」 第12話「敗北、そして新たな出会いなの」 第13話「因縁の襲来」 第14話「負けられぬ戦い」 第15話「ウルトラマンの資格」 ~ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 小ネタ集~ ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- ~ミッドチルダ編~ クロス元:ツバサ 最終更新:08/05/20 プロローグ 第1話「必然の出会い」 第2話「模擬戦」 第3話「牙狼」 L change the world after story クロス元:L change the world 最終更新:08/06/17 第一話「目覚め」 第二話「ミッドチルダ」 第三話「二人の天才」 第四話前編「初事件・遭遇編」 第四話後編「初事件・解決編」 拍手感想レス :そういえばダイナとなのはってF計画繋がりなんですね :ダンが名台詞「その顔は何だ?! その目は!? その涙は何だ!」という台詞をヴィータに言うんでしょうか?気になります :ウルトラ兄弟&なのは最高!次回作、期待しています。 TOPページへ このページの先頭へ
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「ん……?」 グレイがこの世界に現れてから二日が経った。 彼が目覚めたのはベッドの上。それも宿屋にあるような上等なものではなく、どちらかと言うと簡素なものだ。 しばらくグレイはその場で停止する。どうやら状況を飲み込んだ上で、これからの行動を考えているのだろう。 この状況になるまでに憶えている事は、エロールによってこの世界に飛ばされたこと。続いて燃え上がる建物の中での戦闘。それからの記憶は無い。 これがどういう事かを考え、戦闘後に建物から連れ出され、ここに運び込まれたのだと結論付けた。 あの場にいた中でそれができそうなのは、白服の女、高町なのはただ一人。あの後で誰かが来たのでなければ、なのはに連れ出されたのだろう。 ふと、近くに来ていた看護婦が気付き、話しかけてきた。 「あら、目が覚めたんですね」 そう言うと、看護婦がグレイへと歩み寄ってくる。対するグレイは、その看護婦に問い、看護婦もそれに答えた。 「ここはどこだ? 何故俺はここにいる」 「ここですか? ここは聖王医療院です。あなたはミッド臨海空港でモンスターと戦って、その後ここに運び込まれたんですよ」 実に簡潔な回答。おかげで先程の考えが正しかったと証明された。 さて、グレイの頭には現在、一つの単語が引っかかっていた。『ミッド臨海空港』という単語である。 ここで言うミッドとは、おそらく彼の目的地であるミッドチルダ。つまり到着時の状況はともかく、目的地には到達できたという事らしい。 と、ここで看護婦がグレイに一つ伝言を伝えてきた。 「ああ、そうそう。あなたが目を覚ましたら伝えるように言われていたことがあったんでした。 目が覚めて、もし動けるようになったら時空管理局本局に来てほしいって、高町教導官からの伝言です」 ……本局とは一体どこだ? Event No.02『高町なのは』 目覚めてから数日後、グレイが本局ロビーの椅子に座っている。受付の順番待ちである。 普段から腰に差している古刀は無い。どうやら管理局で預かっているようだ。 先日の伝言には、本局に来たときに返すとの旨もあった。だから刀を返してもらう意味でもこちらには来る必要があったのである。 ちなみに他の荷物は病院を出る際に返してもらっている。 と、そんなことを言っている間にグレイの番が来たようだ。受付カウンターまで移動し、用件を伝える。 「高町教導官という人物に呼ばれて来た。取り次いでくれ」 「高町教導官に……ですか? ただいま確認しますので、少々お待ちください」 そう言うと受付嬢は通信モニターを開き、なのはへと連絡を取る。 こう言っては悪いが、いきなり現れてエースオブエースとまで呼ばれるような有名人に呼ばれたといわれても信用するのは難しい。 待つこと数十秒、モニターの向こうになのはの姿が映った。 「あ、高町教導官。あの実は、教導官に呼ばれたっていう男の人が来ているんですが……」 『男の人? その人って、灰色の長い髪をしてませんでしたか?』 「え? あ、はい。確かにそうでしたけど……」 その言葉になのはがしばらく考える。対する受付嬢は反応の無くなったなのはに怪訝そうな表情だ。 (もしかして、空港の時のあの人じゃあ……) 「あの……高町教導官?」 『あ、すいません。じゃあ、その人に待合室で待ってるように言ってくれませんか?』 受付嬢の表情が変わった。本当になのはに呼ばれていたのがそんなに驚くような事なのだろうか? とにかく、すぐに了承して通信を切り、グレイにその旨を伝えた。 「遅い……」 十数分後の待合室。グレイが暇そうな表情でそこにいた。 近くの本棚から本を取り出して読もうとするも、マルディアスとは文字が違うために読めない。 かといって剣の練習もこんな狭いところではできないし、術の練習もまた然り。 それ故に暇潰しすらできずに椅子に座っているほかなかった。他にできる事があるとすれば集気法で回復速度を上げるくらいか。 と、待合室のドアが開く。そこから現れたのはグレイにとっても見覚えのある女性だった。もっとも今は服装も髪型も違っていたが。 「えっと……怪我の具合はどうですか?」 「見ての通りだ。動ける程度には回復している」 まずはその女性、なのはがグレイの具合を聞き、それに答えを返す。 もっとも、動ける程度に回復したら来るよう言われていたので、ここに来ている時点である程度想像はつくのだが。 それを聞き、なのはがほっとしたような表情を浮かべて礼を言う。 「そうだ、あの時はありがとうございました」 急に礼を言われ、頭に疑問符を浮かべるグレイ。どうやら例を言われる理由がサッパリらしい。 どういうことか分からないので、なのはに直接聞くことにしたよう。 「……? 何の事だ?」 「ほら、あの時命がけでモンスターと戦ってたじゃないですか」 「その事か……あそこを出るのにあれが邪魔だっただけだ。感謝されるいわれは無い。 それより、俺を呼び出して何の用だ、高町教導官?」 グレイがそう聞くと、なのはの表情が変わる。今までの優しい顔から多少厳しい顔に。 「一つ、あなたにとって重要な話をするために呼びました」 話は空港火災の日まで遡る。 「なのはちゃん、ちょっと話があるんやけど」 「どうしたの?」 空港火災の日、そこで指揮を執っていた茶の短髪の女性『八神はやて』がなのはを呼び止めた。 表情からすると、何か真面目な話題なのだろう。いつになく真剣な顔である。 「まず、これを見てくれへん?」 そう言ってはやてが出したのは、空港内で確認された何かの反応のデータが映ったモニター。 それは人間だったりモンスターだったり、あるいは炎だったり色々である。 少しずつ時間を進めるような形でデータを進め、そしてある所で一時停止をかける。 「……ここや」 はやてが指差した箇所。その箇所には一秒前まで何の反応も無かった。一秒前までは。 だが、そこに突如人間一人分の反応が現れた。同じように転移の反応も同時に。 これが何を意味するか、理解に時間はかからない。 「え? これって、もしかして……」 「せや。転移魔法かそれとも次元漂流者かは分からへんけど、この時間に誰かがここに転移して来てるって事や」 そのまま再生ボタンを押し、その反応を追う。その反応はどうやら出口を探しながら移動しているようだ。 移動した軌道上のモンスターの反応は少しずつ減っていっている。その反応の主が倒したのだろうか? そしてある程度進んだ時点で再び一時停止。 「そして、この反応がなのはちゃんや」 そう言いながら、その反応の近くにある別の反応を指差す。どうやらこれがなのはの反応らしい。 近くには子供一人分の反応と、大物モンスターの反応もある。 「はやてちゃん、これ……」 なのははすぐに感づいたようだ。その反応の主の正体に。 そう言ったなのはに対し、はやても頷いて返した。 「これは多分、なのはちゃんが助けた灰色の髪の人の反応やろな」 そして、その詳細や目的を確かめるためになのはがグレイを呼び出し、今に至るという訳である。 「えっと……」 そういえばなのははグレイの名を知らない。そのため少し言いよどむ。 それを察したグレイが、自分の名を名乗った。 「まだ名乗っていなかったな。俺の名はグレイ」 「それじゃあ、グレイさん……ここは、あなたがいた世界ではありません」 この後の反応はなのはにも予想はできている。おそらく驚くか、あるいは現実を受け入れるのに多少考えるかの二択。 今までの次元漂流者の場合は、ほぼ全てがそのどちらかだったと、データで見たことがあったし、今まで見てきたのも大抵そうだったからだ。 だが、グレイの反応はそのどちらでもなかった。 「知っている。ミッドチルダだろう?」 その事に逆になのはが驚いた。 ここが異世界だと知っている上で、それで猶ここにいる。それはどういうことか。 いくつか思い当たる可能性はあるが、直接聞いたほうが早い。もしかしたら犯罪目的で違法に転移を行った可能性もある。 表情を若干厳しいものに変え、その疑問を口に出した。 「それはどういう事なんですか? 場合によっては、あなたを拘束しなければいけなくなるかもしれません」 これはどうやら、グレイがエロールから聞かされていた真相を話す必要があるようだ。というより、そうしないと面倒になりそうである。 意を決し、その真相を話した。 「――――俺が聞かされているのは、それで全部だ」 その話は、なのはにとっては信じがたい事であった。 何せ異世界の邪神が復活し始め、完全な復活のための力を蓄えるためにミッドチルダに来ているなどと聞かされても、どう反応すればいいのか分からない。 だが、グレイの目は嘘をついている目ではない。おそらくは真実なのだろう。 「じゃあ、一人でそのサルーインと戦っているんですか?」 相手が神だというのなら、一人で戦うのは無謀。なのに一人でいる……という事は、まさか一人で戦っているのだろうか。 なのははそう思い、グレイへと尋ねる。そして返ってきたのは否定だった。 「いや、仲間があと四人いる。この世界に飛ばされる時に散り散りになったようだがな。 ……そうだ、時空管理局……だったか? お前達の方で同じように見つけてはいないのか?」 飛ばされる時に散り散りになった四人の仲間。それがこの世界に来ているのならば、管理局の方で見つけているはず。 その事に一縷の希望をかけて同じように質問を返すが、なのはから返ってきたのは否定。 「……残念ですけど、あの日に転移してきたのはグレイさんだけでした」 「そうか……分かった」 やはり落胆しているのだろうか、グレイは声のトーンを幾分落として返す。 そうして次の瞬間には、席を立った。 「仲間を探す時間は無い。俺はサルーインを探しに行く」 それはあまりにもいきなりな事。そのせいでなのはは面食らい、のけぞる。 そのまま椅子ごと後ろに倒れるのを何とか踏みとどまり、何とかグレイを引き止めようとした。 あても仲間もないのに出発するという自殺行為を止めたいという一心で。 「待ってください! 出発するって言っても、あてはあるんですか?」 沈黙。 やはりあては無かったらしい。 「それに、相手は神なんですよね? 一人で戦って勝てる相手なんですか?」 さらに沈黙。 「あ、これは絶対無茶だ」という思考が頭を支配しているのだろう。だからといって他の手など思いつかない。 そういう事を考えていたグレイに対し、なのはがとある提案を持ちかけようとした。 「……グレイさん、管理局に協力する気は『なのはさん!』 が、急にオペレーターからの通信が入り、中断せざるを得なくなった。 「どうしたんですか?」 『例の海賊たちです! 次元航行艦が一隻襲われました!』 海賊? この世界にも海賊がいるのだろうか。 そのような疑問を浮かべるグレイを尻目に、通信で二言三言話したなのはが椅子から立ち上がる。 そしてグレイへと向け、謝罪の言葉を口にして部屋を飛び出した。 「ごめんなさい、グレイさん! 急ぎの用ができました! 後で続きを話すので、ここで待っててください!」 部屋に残されたグレイは、一人考えていた。 会話の内容からすると、その急ぎの用とは海賊退治だろう。 ならばある程度役に立つことはできるだろうし、何より待たされるのは御免だ。 そして結論……なのはに同行し、手を貸す。話の続きは移動中でも可能だろう。 その結論を出したグレイは、荷物袋から予備として持っていた武器『アイスソード』を取り出し、それを背に負って駆け出した。 戻る 目次へ 次へ
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